

美術雑論02|松本竣介
美術雑論、今回は 松本竣介です。
松本竣介の作品は、その独特で幻想的な描写で、見るものを夢と現実の狭間へと誘ってくれます。
風景画 人物画 全ての作品が詩的なんですね。詩的で文学的な絵画。
例えるなら、本を読んでいる時に 頭の中で無意識に描いている物語世界を 眼に見える形として表現した絵画。
その絵画は、受け手の感情によって 幾通りにも顔を変え、気づけば松本竣介の世界の中で心地よく漂っています。
眼に見えないものを表現する。これぞ絵画の本質ではないでしょうか。
今年 2012年は、松本竣介が生まれて100年になります。これを記念して大々的な企画展「生誕100年 松本竣介展」が開催されています。4月から地元の岩手を皮切りに神奈川 宮城 島根 東京と巡回するようです。 関西への巡回予定がないのが本当に残念ですが、見れる機会がある方はぜひぜひ見てください。竣介の世界の中で、ふわふわと心地よく漂えるはずです。
最後に。松本竣介の言葉を ふたつ。
ひとつめ。中学時代に絵画展で入賞した作品の裏に書かれていた言葉。
「比の作は一つも個性といふものが出ていない。単なる自然の模写に過ぎぬ」
ふたつめ。脳脊髄膜炎がもとで 13歳で聴力を失ったときに遺した言葉。
「天空はいつも悠々としている。天地のように生活しよう」
